|
|
政府備蓄米とは
政府備蓄米の定義と目的
政府備蓄米は、日本国政府が凶作や不作、災害時などに備えて保存しているお米です。その目的は、食料供給の安定を図り、国民の生活を守ることにあります。特に、主食であるお米は日本人の食文化において重要な位置を占めており、その安定供給を維持するために政府による備蓄が行われています。また、備蓄米の運用を通して、米市場の価格や需要と供給のバランスを維持する役割も持っています。
制度の始まり:歴史と背景
日本の政府備蓄米制度は、1995年(平成7年)に施行された「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」に基づいて正式に開始されました。この制度の背景には、1993年(平成5年)の記録的な不作による米不足、いわゆる「米騒動」があります。このとき、日本国内の米需要を満たすためにアメリカやタイなどから輸入米を大量調達する事態に陥り、食料安全保障の必要性が再認識されました。それ以降、政府が主導して安定的な備蓄体制を整え、今日まで運営されています。
備蓄米が果たす役割とは
備蓄米の役割は多岐にわたります。第一に、凶作や自然災害などが発生した際の緊急時の食料供給源となることです。特に、大規模な食料危機が予測される場合には、市場へ備蓄米を放出し、供給の安定化が図られます。第二に、価格安定のための調整弁としての役割もあります。米の価格が急騰・急落する事態を防ぎ、消費者だけでなく生産者にも配慮した市場の安定を目指しています。さらに、備蓄米は学校給食やフードバンクなどを通じて社会支援の役割も果たしており、多方面で重要な意義を持っています。
備蓄されるお米の種類と特徴
政府備蓄米として保管されるお米は、主に日本国内で生産された国産米です。特定のブランド米ではなく、広く普及している品種が対象となり、例えばコシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまちといった銘柄が含まれることがあります。備蓄される際には、主に玄米の形で保管されます。玄米は精米した白米に比べて酸化が進みにくく、長期保管に適しているためです。